上田学園 見上クラス
《 異文化コミュニケーション 》 |
YK | OY | |||
Nr.29 | Choral | O Mensch, bewein dein Sünde groß, Darum Christus seins Vaters Schoß Äußert und kam auf Erden; Von einer Jungfrau rein und zart Für uns er hie geboren ward, Er wollt der Mittler werden. |
おお人よ、おまえの大いなる罪を嘆くがよい。 罪があったからこそ、キリストは神の父の懐から現れて この大地へやってきたのだ。 純粋で優しい一人の若き女から 私達のために、イエスはこの世に生まれ出でた。 彼は仲介者になろうとした。 |
人よ!あなたの大いなる罪を嘆くがいい それゆえキリストはキリストの父の懐から 現れ大地からやって来た 清らかで優しい一人のマリアから イエスはここに生れた イエスは仲介者になった |
Den Toten er das Leben gab Und legt darbei all Krankheit ab, Bis sich die Zeit herdrange, Dass er für uns geopfert würd, Trüg unsrer Sünden schwere Bürd Wohl an dem Kreuze lange. |
彼は死んでいた者たちに命を与えた。 その時に、すべての病気をも取り払った。 イエスにその時が押し迫るまで。 彼は私達のためにいけにえになったということだ。 私達の罪という重い重荷を背負ったのだ。 かくも長くの間、十字架の上で。 |
イエスは死者たちに生命を与えた その際この世の全ての病気を取り除いた 時間が差し迫る時まで イエスは私たちのために生贄になった 私たちの罪を永い間、重荷として十字架に担った |
NM | HT | |||
Nr.29 | Choral | O Mensch, bewein dein Sünde groß, Darum Christus seins Vaters Schoß Äußert und kam auf Erden; Von einer Jungfrau rein und zart Für uns er hie geboren ward, Er wollt der Mittler werden. |
あぁ、人間よ お前さんの大きな罪を嘆いたもんだから キリストの父のもとからこの大地に誕生したんだよ 清らかで優しいひとりの乙女から 私たちのためにイエスはここに生まれて 仲介人になろうとしてくれたんだよ |
ひとよ、あなたの大いなる罪を嘆け。 それゆえキリストは彼の父の懐から 現れた。そして、この大地に来た。 彼は清らかで優しい一人の乙女から 私たちのために生まれ 仲介者になろうとした。 |
Den Toten er das Leben gab Und legt darbei all Krankheit ab, Bis sich die Zeit herdrange, Dass er für uns geopfert würd, Trüg unsrer Sünden schwere Bürd Wohl an dem Kreuze lange. |
イエスは死者たちに命を与え 同時にすべての病気も取り去ったんだ! ときが押し迫るまで・・・ イエスは私たちのために生贄になってくれたってことだね 本当に長い間十字架に 私たちの重い重い罪を背負いながら・・・。 |
彼は死者たちに命を与えた。 そして、その際に全ての病気を祓った。 自分自身の時間が押し迫るまで。 ということは彼は 私たちのために本当に長い間 わたしたちの罪である重い十字架を 担う生贄となった。 |
Nr.29 | Choral | O Mensch, bewein dein Sünde groß, Darum Christus seins Vaters Schoß Äußert und kam auf Erden; Von einer Jungfrau rein und zart Für uns er hie geboren ward, Er wollt der Mittler werden. |
おお人よ、お前の大きな罪を嘆くがよい。 それゆえにキリストは父のふところを出て、 地上へと下ったのだ。 清くやさしいひとりの乙女から、 彼は私たちのためにお生まれになった。 彼は人と神の仲立ちをしようとされ、 |
Den Toten er das Leben gab Und legt darbei all Krankheit ab, Bis sich die Zeit herdrange, Dass er für uns geopfert würd, Trüg unsrer Sünden schwere Bürd Wohl an dem Kreuze lange. |
死者たちに命を与え、 すべての病を除かれた。 しかし時は押し迫り、 彼は私たちのためにいけにえとして捧げられ、 私たちの罪の、重い荷を背負われた。 十字架につけられて、長いこと。 |
特設コーナー
”宗教”と”知” ~日本のある音楽理論研究者が書いた宗教論を読んで、人生について考える~ Activities and Fruits of the Intellect―My View of Music Theory (1996) |
16 | 1 | Scientific intellect, so far as it subjects everything to criticism and verification, is effective only when it is free from personal interest or inclination ("Weltfrei" of Max Weber). | 科学的な知性は批判と立証を一切服従する限り 個人的な利益か思考から自由である時だけで効力がある |
ところで科学的な知は一切を検証・吟味の篩にかける批判知であり、その限りにおいて個人の利益・好悪から自由でなければ完遂しえない(M.ウェーバーの”没価値性”)。 |
2 | However, intellect as a "biological system" divides everything according to its utility. | [NM]実際、“生物学的システム”としての知性は、調和のとれた、すべての有益性によって分けられます。 |
だが知がもともと”生物学的なしくみ”である限り、一切のものを”自己にとっての有用性”(利益、好悪)に従って××に分別するのは当然であろう。 | |
3 | At this point, it is a question how "Weltfrei" intellect relates to "value-bound" intellect for survival. | この点から、“没価値性”な知性は、どのように“縛られた価値”の知性から生き残ることに関連付けられるかが問題である。 | ここにおいて、”没価値的”な「経験科学的な知」と”価値付与的な”[生きるための知]とがどうかかわり合うかが問題となる。 | |
4 | It is my opinion that the former is a part of the latter, because a "true-false" conception is a kind of estimation of utility. | [HT]これは私の意見だが前者は後者の一部分である。なぜなら「真か偽」かの概念は 実用性の一種の評価のようなものであるからだ。 |
私自身は、前者も後者の一環(特殊ケース)であると考える。”真偽”もまた有用性にかかわる”価値判断”の一種だからだ。 | |
5 | But I think it appropriate to stay within the present subject. | しかしわたしはそれは現在の主題の中で適切なままでいると考える。 | とはいえ、今、この問題を十分に論ずることはできないので、差し当たっての論点に限って結論を略述するに留めたい。 | |
6 | When, for example, masterpieces of music, fine arts, or literature give us a deep impression , this emotion comes not from the "Wertfrei" approach to objects but from "value-bound" experience. | [YK]例えば、私達が音楽や美術や文学の傑作で深い影響を受けるとき、この感情は「価値とくっついた」経験からその物に対して起こるものであり、「没価値性」の考えから起こるものではありません。 | 例えば、私たちが美しい絵画や風景を見、優れた音楽を聴いて感動するのは”価値的な体験”であって、対象との”没価値的”なかかわりではない。 | |
7 | If this experience moves us so strongly or deeply, then we feel the objects are worthier than anything. however the emotion is personal, and we cannot compel others to feel the same. | もし私達が、この経験から強く、あるいは深く心を動かされるとき、私達はその物がなによりも価値があると感じます。しかし、感情というのは個人的なものであり、同じ感情を他の人へ強いることはできません。 | 価値的な体験が極めて強烈・深甚な場合、その対象はその人にとって他の何者をもっても替えられない絶対的帰依の対象となるであろう。 しかし、それは飽くまでも”その人にとって”であって”他の人にとって”ではない。 |
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8 | " Existential absoluteness" and "objective relativity" do not contradict each other in this case. | 「実存的絶対」と「客観的相対」は、この場合にはお互いを否定することはありません。 | この場合”主観的・実存的絶対”と”客観的相対”とは矛盾しない。 | |
9 | The experience value is primarily a personal matter that cannot be compared or exchanged. | [OY]経験の価値は個人の経験として比較や交換はできない。 |
価値的体験は本来各人に固有なものであって相互に比較したり取り替えたりできないものなのだ。 | |
10 | Each person has viewpoints and other things that are
valid for himself, and at the same time, he has to respect those of other people. |
一人一人が視点と他の考えが有効であると同時に人は他の人を尊敬する。 | 各人は各人の価値を大切にすべきであり、同時に、自分とは異なる他人の価値をも尊重し合わなければならない。 | |
11 | It is most necessary to recognize this fact now. | それは事実を評価するうえでもっとも必要なことだ。 | これは、これからの多様化と共生の時代に向けて最も肝心な認識であろう。 |
17 | 1 | These observations concerning intellect lead me to summarize the subject as follows: | observation 観察、観測 concerning ・・・に関して(前置詞 about) lead 導く summarize 要約する、手短に述べる subject 主題、問題、テーマ as follows: (・・・は)次のとおり(非人称動詞) |
2 | 1. "Approach by intellect" is always possible in its range regardless of its objects, but only with scientific means to be effective. | approach 接近、接近方法、取り組み方、研究方法(態度) range 範囲、射程 regardless 不注意な、無頓着な、~of... にかかわらず effective 有効な |
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3 | 2. Products of intellect are to be open to further development. | further さらに遠く、もっと先に、いっそうはるかに | |
4 | A theory becomes an ideology when stabilized. | ideology イデオロギー、空理、空論 stabilize 安定化させる |
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5 | 3. "Approach by intellect" is ineffective outside its range and produces only dogmas. | ineffective 無効の、効果のない、無駄な dogma ドグマ、独断的主調 |
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6 | 4. Ideologies or dogmas become dangerous when made absolute,
as they judge without proof. Intellect alone can criticize them. |
dangerous 危険な make (+形容詞)ある状態にする judge 判断する、断定する proof 証明、立証 |
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7 | 5. Religious dogmas and creeds are not wrong so long as they are accepted as symbols. | creed 信条、信経 so long as ・・・する限りは accept 受け入れる、認める、信用する symbol 象徴 |
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8 | 6. There may be things in the range of intellect which are looked upon by someone as absolutely valuable, although he must not force them on others as being of objective and universal value. | looked upon みなす absolutely 絶対的に valuable 価値を有する although たとえ・・・いえども、とはいえ force 押しつける、強いる、強要する、 being 存在、もの、本質 objective 客観的な universal 普遍的な value 価値 |
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9 | 7. We must exercise intellect rightly, not wrongly, not unjustly. | rightly 正しく、正当に、正確に、本当に wrongly 悪く、邪悪に、不正に、不法に、不当に、理不尽に誤って、間違って unjustly 不公平に、不当に、不正に、不法に、不条理に、不誠実に |
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10 | We must be free from any concern of interests or prejudices, otherwise we would go astray and use intellect as an instrument of control over others. | concern 関心、懸念、心配、利害関係 prejudice 偏見、先入観 otherwise 別な方法で、他の状態に、さもなければ go astray 道に迷う、惑う、堕落する "Better to ask the way than go astray."「迷うより道を聞け、菊は一時の恥。」 instrument 道具 control 支配(over) |
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11 | 8. We have a grave responsibility on the proper exercise of intellect, which has not only scientific but also ethical and religious meanings. | grave 危機をはらんだ、ゆゆしい、容易ならぬ、重大な responsibility 責任、責務、義理、信頼性(度)、確実度 proper 適当(妥当)な、相応な、ほどよい、正しい exercise 運動、練習、稽古、行使、使用、実行 not only ・・・ but also ethical 倫理的な meaning 意味、意義、わけ、趣意、考え、目的、底意、効力 |
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12 | All works of intellect must be based on an unbiased attitude. | based on ・・・に基づかせる |
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13 | 9. Attitude of intellect (intellectual sincerity) will become more necessary in the world of the future. I think that it has an important role in saving the spaceship Earth from destruction and to enable mankind to build a peaceful and prosperous society. | intellectual 知的な、知性の |
特集 現代社会 ニューエイジ思想の多層的な影響を考える |
2007年度後期(秋学期)授業終了にあたって 今日で2007年度後期(秋学期)の授業の本体は終了です。この間、17回の授業では、まず第1に、《マタイ受難曲》でキリスト教の基本となる新約聖書の一部をルターが翻訳したドイツ語で実際に読むことを通じて、宗教の基本的な教義が何であるかについての経験を積みました。 第2には、島岡譲「知の営みと知の所産 私の場合」(1996年)の英訳版を読むことを通じて、「信仰と知」、「宗教と科学」、「価値付与的な知と没価値的な知」について触れてきました。この文章の結論は、「知的誠実こそが大切である。」ということにまとめることができるでしょう。 第3には、現代の宗教とも言える「ニューエイジ」とその周辺を見渡すことによって、「信仰と知性」の具体的な問題点に、生存権、および知る権利という観点から切り込むことを目指しました。この点の展開はまったく不十分で、”博物館”的に様々な問題を陳列しただけになってしまいました。伝えたかったことは、一見まったく異なった現象のようでいても、その底には共通した流れが存在する可能性があることと、”真理”を知ることはなかなか容易ではないということでした。 今学期取り上げたものは、どれもむずかしい内容でしたが、現代社会において”知的に”(intellectual)生き残って(survival)いくためにはかなり重要な内容だったと思われます。『生きさせろ!』の著者も、ワーキングプアの状態から今や一角の”知識人”にまで登りつめ、自らの”生存権”を守ってこれたのも、”知的生き残り”の方向へと人生の軸を大きく変えてきたからではないでしょうか。この書からはそうした人生の歩み方を学んで欲しいと思っています。 日本語を読んでもらえるように書いたり、外国語の情報を取得したり、根本的に物事を考えたりすることは、これからの時代を生き抜いていくためにはどうしても必要なことです。 さらにもうひとつ、生存権の行使のために重要なことを強調しておきたいと思います。それは”数を読む”ことです。これは会社の経営だけではなく、家庭を持っても、自分の給与体系を理解する上でも会計は重要な要素です。また統計を読んだり、その他の何らかの計画を立てたりする上でも必要なことです。そういった観点からも、25日の特別授業のゲスト講師の長山氏には話してもらおうと思っています。 来年度(2008年度)は、教科名を、「異文化コミュニケーション」あらため、「知的サバイバル」として再構成して新たな出発をします。では、今後ともよろしくお願いいたします。 2008年3月11日 見上潤 |