上田学園 見上クラス
《 異文化コミュニケーション 》 |
Title: 来週の授業について、お願いがあります 見上先生 こんにちは。上田学園の八巻です。 いつもありがとうございます。 今日は来週の19日(火)の授業について、メールいたしました。 来週の授業の時、これからの授業について私たち生徒からお願いがあるので授業の始めに、少しお時間をいただけませんか? よろしくお願い致します。 上田学園 八巻健太郎 |
◇ や、やばい! 反乱か!(汗)。覚悟を決めて八巻に電話を入れる。 見上: (冷静を装って)これも授業の一環として言うことなのだが、要望がある場合には、文書化してメールしてほしい。とはいえ、今の内容はあと1,2回で終了する予定だから、やりたい事とかあれば、出してほしい。 八巻: 今のところは特に具体的にこれをやりたいという要望はないのですが、分量が多いという意見が出ています。 |
Title: 見上先生へ 私達生徒の考えをまとめました こんにちは。上田学園の八巻です。いつもありがとうございます。 私達の考えをまとめましたので、メールいたします。 明日の件ですが、見上先生が授業で目指したいこと、私達に伝えたいことを教えていただきたいのです。今学期、見上先生の授業が私達にとってハイペース過ぎて、先生の授業の意図を感じとる余裕がなかったという思いからです。先生の意図がわかれば、見上先生の授業をより理解できるようになると思います。今までついていけてないのに、何もお話せず、申し訳なく思います。明日の授業の始めに、先生が授業で目指していること、私達に伝えたいこと、をお話ししていただきたいと思います。 どうぞよろしくお願い致します。 上田学園 生徒一同 |
◇ そうか、そうか。今年ちょうど新入生(高桑君)が入学した時に、シラバスを作らなあかんと書き始めたが、完成を見ずにそのままになっていたことを思い出した。 |
■ 本講義の歴史・目的・教材 新入生を向かえ、この講義がどのようなものであるかという質問を受けたので、これを機会に、この講義の歴史・目的・教材・目標を再検討し、現時点での立ち位置を明らかにする。 A.歴史: 本講義開設以来10年間の主たるテーマは、外国語、哲学、および日本語である。 外国語は、ヨーロッパの主要な言語である、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ロシア語、ハンガリー語の他、古典語であるラテン語、古典ギリシア語、更には、アジア系の言語である、コリア語(韓国語・朝鮮語)、中国語、アラビア語まで対象にした。 その内容は、各言語の比較による単語や文法の類推法を中心に、各言語の文字の面白さ、発音の多様性の紹介などへの広がりを持った。 哲学は、外国語を媒介にしつつ、哲学者のことばや考え方の紹介、またその流れの一環として、現代に生きる市民として必要不可欠な人権思想にも目を向け、英訳日本国憲法やアメリカ独立宣言も取り上げた。 B.目的: 1.独立した個人として考え、自分の感性と知性を駆使して、判断できるようになるための基礎学力の習得。 2.この基礎学力の中核は”日本語”であって、特にその書き言葉を柔軟に駆使することに重点をおく。 3.外国語文の日本語訳、および提出された翻訳文を比較することを通じて、日本語の多様性に目を向ける。 4.優れた古典を原文で触れることによって、西洋文化そのものと遭遇し、格闘する。(音楽作品もその対象である。) 5.インターネットを駆使した情報収集法・情報選択法の研究。虚々実々のネット情報からいかに真実を読み取るか。 C.教材: 1.『新約聖書』にみる人間の真実: バッハ《マタイ受難曲》 Matthäus-Passion (1727) 【ドイツ語】 バッハの優れた音楽に簡単に触れながら、ドイツ語で『新約聖書』を読む。キリスト教の主張にナマで触れる。 2.宗教と知: 島岡譲『知の所産と知の営み』 Activities and Fruits of the Intellect―My View of Music Theory (1996) 【英語】 ある日本人の宗教にまつわる文明論を精読することを通じて、自分の立ち位置を明らかにする。 3.インターネット: ウィキペディア、その他。2008年は、ニューエイジ思想とその周辺について考えることにした。一見するところ口当たりの良いものに見えるが、その考え方がカルト宗教や詐欺商法に利用されている側面は否定できない。「信仰の自由」と「だまされない知恵」について考える。 今後、使用する書籍 斎藤貴男「カルト資本主義」(文春文庫) 雨宮処凛「生きさせろ!」(太田出版) D.特別授業: 「公認会計士って何? 税理士とどう違うの? 経営って何? 経営コンサルタントって何するの? 歌う・公認会計士 長山宏 が疑問にお答えしましょう!」 三優ビーディーオーコンサルティング株式会社 ブログ メルマガ 日程未定 |
◇ なんだか堅苦しいですね。見た目と違って結構硬派ですいません。最近のモットーは、一言で言って、”だまされたらあかん。ぼーっとしてると、喰われちまうよ!”ってあたりです。 |
Nr.26 | TM | YK | ||
Evangelist | Und er kam und fand sie aber schlafend, und ihre Augen waren voll Schlafs. Und er ließ sie und ging abermal hin und betete zum drittenmal und redete dieselbigen Worte. Da kam er zu seinen Jüngern und sprach zu ihnen: |
彼は弟子たちが寝ているのを見つけた。彼らの目は、眠ったままだった。 彼はイエスをそのままにし、そこから出て行って同じ言葉で祈った。そして彼のところへ行った。 |
祈りが終わって戻ってきたイエスは、弟子たちがまだ寝ているのを見つけた。 彼らは深く眠っているようだった。 イエスは彼らをそのままにし、そこから進み出て3度目の祈りをささげ、同じことをしゃべった。 そして弟子たちのところに戻ってきて、彼らに向けて言った。 |
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Jesus | Ach! wollt ihr nun schlafen und ruhen? Siehe, die Stunde ist hie, dass des Menschen Sohn in der Sünder Hände überantwortet wird. Stehet auf, lasset uns gehen; siehe, er ist da, der mich verrät. |
「あー!お前たちはこの後に及んでまだ寝て休んでいたいのか? みよ、そのときがきたぞ。人の子は罪人の手の中にとらえられるだろう。起きろ、いくぞ。オレを裏切るやつがくるぞ。」 | ああ!君たちはこんな時でも寝て休んでいたいのか? 見よ、今こそ、人の子イエスが、罪人の手に捕らえられる時だぞ。 起きろ。共に行こう。見よ。そこに彼が、私を裏切る者がいる。 |
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Evangelist | Und als er noch redete, siehe, da kam Judas, der Zwölfen einer, und mit ihm eine große Schar mit Schwerten und mit Stangen von den Hohenpriestern und Altesten des Volks. Und der Verräter hatte ihnen ein Zeichen gegeben und gesagt: »Welchen ich küssen werde, der ist's, den greifet!« Und alsbald trat er zu Jesu und sprach: |
彼が言わないうちに、12人の弟子のうちの一人のユダが来た。 ユダといっしょに、長老と祭司長に遣わされた剣と棒をもったたくさんの人が来た。 裏切り者は、サインを与えていった。 「私とキスするであろう者をつかまえろ。」 そしてまもなく、ユダがイエスのところに歩み寄って言った。 |
イエスがまだしゃべっている間に、見よ、12人の弟子の一人の、ユダがやってきた。 彼とともに、祭司長と長老に遣わされた、剣と棒を持ったたくさんの者たちも近づいてきた。 ユダは、彼らにサインを与えた。彼はこう言った。 「僕がこれからキスをする者、そいつこそ彼だ、捕まえろ!」 まもなく、彼はイエスに歩み寄って、言った。 |
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Judas | Gegrüßet seist du, Rabbi! | ごきげんよう、大先生! | ||
Evangelist | Und küssete ihn. Jesus aber sprach zu ihm: |
そして彼にキスをした。イエスはユダにこう言った。 | ||
Jesus | Mein Freund, warum bist du kommen? | 「私の友よ、なぜここへ来た?」 | わが友よ、おまえはなぜここに来たのだ? | |
Evangelist | Da traten sie hinzu und legten die Hände an Jesum und griffen ihn. | イエスに手をかけて拘束した。 | その後、武装した集団が押し寄せて、イエスの手をあてがい、彼を捕まえた。 | |
Nr.27 | ||||
a | Aria | 1 So ist mein Jesus nun gefangen. 2 Laßt ihn, haltet, bindet nicht! 3 Mond und Licht 4 Ist vor Schmerzen untergangen, 5 Weil mein Jesus ist gefangen. 6 Laßt ihn, haltet, bindet nicht! 7 Sie führen ihn, er ist gebunden. |
1. このように、私は今拘束されている。 2. しばるな!! 3. 月と光は 4. 痛みによって沈んでしまった 5. なぜならば 6. この後に及んでまだ眠いか 7. 彼らはイエスを連行する |
そうして、僕のイエスは今まさに捕らえられた。 放せ!やめろ!彼を縛るな! 月と光が、痛みのために沈んでいく。 僕のイエスが、捕らえられたからだ。 放せ!やめろ!彼を縛るな! 奴らはイエスを連行し、彼は縛られてしまう。 |
b | Cori | 1 Sind Blitze, sind Donner in Wolken verschwunden? 2 Eröffne den feurigen Abgrund, o Hölle, 3 Zertrümmre, verderbe, verschlinge, zerschelle 4 Mit plötzlicher Wut 5 Den falschen Verräter, das mördrische Blut! |
1. 雷鳴と稲妻は雲の中に消えてしまったのか 2. 炎に燃えさかるふちを開けよ、地獄よ 3. 打ち砕け、ぶち壊せ、飲み込め、木っ端微塵にせよ 4. 突然に 5. 偽りの裏切り者、殺人者の血よ |
稲妻、雷鳴は雲のかなたに消えてしまったのか? 地獄よ、炎の淵を開けろ。 殺人の血に染まる不実な裏切り者を、突然の怒りでもって、 打ち砕き、ぶち壊し、飲み込み、木っ端微塵にしてしまえ! |
Nr.26 | OY | HT | ||
Evangelist | Und er kam und fand sie aber schlafend, und ihre Augen waren voll Schlafs. Und er ließ sie und ging abermal hin und betete zum drittenmal und redete dieselbigen Worte. Da kam er zu seinen Jüngern und sprach zu ihnen: |
イエスは弟子たちが寝ているのを見つけたぞー 彼らの目は眠気で一杯だったぞー イエスは弟子たちをほったらかして 出てゆき、同じ言葉で3回祈ったぞー そこで弟子のユダがやって来て言ったぞー |
そして彼は戻って来て弟子たちが眠っているのを見つけ、彼らは深い眠りについていた。 彼らをそのままにし、あちらへ出て行った。 3回目の祈りをし、同じ言葉を言った。 そこでイエスは弟子たちのところへ来て 彼らに言った。 |
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Jesus | Ach! wollt ihr nun schlafen und ruhen? Siehe, die Stunde ist hie, dass des Menschen Sohn in der Sünder Hände überantwortet wird. Stehet auf, lasset uns gehen; siehe, er ist da, der mich verrät. |
コラー、お前たちはこの期に及んで休んでいるのかー! 起きろ!行け! 見ろー!ユダはそこだぞー!!その時が来たぞー! |
「ああ、お前たちはまだ寝て休んでいたいのか? 見よ、その時が来て、人の子は罪人の手に捕らえられているだろう おきろ、行こう 見よ、裏切り者がいる」 |
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Evangelist | Und als er noch redete, siehe, da kam Judas, der Zwölfen einer, und mit ihm eine große Schar mit Schwerten und mit Stangen von den Hohenpriestern und Altesten des Volks. Und der Verräter hatte ihnen ein Zeichen gegeben und gesagt: »Welchen ich küssen werde, der ist's, den greifet!« Und alsbald trat er zu Jesu und sprach: |
イエスの話が言い終わらないうちに、見ろ!12人のうちの弟子の一人 ユダがやってくるぞー ユダ一緒に民衆の長老に使わされたたくさんの人々が剣と 棍棒を持ってやってきたぞー。 そしてユダはサインを与え 「私がキスするものを拘束しろ」 ユダはイエスの所に歩み言ったぞー |
そして彼がまだ言い終わらないうちに 12人の弟子のうちの一人のユダと 祭司長や民衆の長老より送られた 剣と棒を携えた多くの群集が彼とともに来た。 そして裏切り者は与えられた合図を持ちこう言った。 「口づけをするもの、そいつがイエスだ。捕まえろ!」 まもなく彼がイエスのところに歩み寄り言った。 |
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Judas | Gegrüßet seist du, Rabbi! | ごきげんよう、ラビ。 | 「ご機嫌いかがですか?先生?」 | |
Evangelist | Und küssete ihn. Jesus aber sprach zu ihm: |
ユダはイエスにキスをして、イエスはユダに言ったぞー | そして彼に口づけをした。イエスは彼に言った。 | |
Jesus | Mein Freund, warum bist du kommen? | 私の友よ!なぜお前はここに来た? | 「友よ、なぜここに来た?」 | |
Evangelist | Da traten sie hinzu und legten die Hände an Jesum und griffen ihn. | たくさんの人々は手を伸ばしイエスを連行したぞー | 群集は歩み寄って彼に向かって手を伸ばした。 | |
Nr.27 | ||||
a | Aria | 1 So ist mein Jesus nun gefangen. 2 Laßt ihn, haltet, bindet nicht! 3 Mond und Licht 4 Ist vor Schmerzen untergangen, 5 Weil mein Jesus ist gefangen. 6 Laßt ihn, haltet, bindet nicht! 7 Sie führen ihn, er ist gebunden. |
イエスは今や連行されたぞー イエスを離せ、やめろー!縛るな 月と光 痛みの前に光が消えるぞー! 私のイエスが捕まったぞー! イエスを離せ、やめろー!縛るな イエスを連行し縛ったぞー!! |
1こうして私のイエスは捕らえられた。 2放せ、縛るな! 3月と光 4痛みによって沈んでしまった。 5なぜならば私のイエスが捕らえられたから 6放せ、縛るな! 7彼らはイエスを連行する、彼は縛られた。 |
b | Cori | 1 Sind Blitze, sind Donner in Wolken verschwunden? 2 Eröffne den feurigen Abgrund, o Hölle, 3 Zertrümmre, verderbe, verschlinge, zerschelle 4 Mit plötzlicher Wut 5 Den falschen Verräter, das mördrische Blut! |
稲妻、雷鳴は雲に消えたのか? 激しい淵を明けろ!地獄へ! 偽り者 裏切り者、殺人者には怒りで、踏み潰せ、 ぶち壊せ、飲み込め、こっぱ微塵にしろー、血塗れにしろー!!!!!!!! |
1稲妻、雷鳴は雲の中に消えてしまったのか? |
Nr.26 | IT | ||
Evangelist | Und er kam und fand sie aber schlafend, und ihre Augen waren voll Schlafs. Und er ließ sie und ging abermal hin und betete zum drittenmal und redete dieselbigen Worte. Da kam er zu seinen Jüngern und sprach zu ihnen: |
イエスはまた戻ってきて、彼らが眠っているのを見つけた。 彼らの目は、眠気にふさがれていたのである。 イエスは彼らを残してもう一度出てゆき、 三たび祈って、同じ言葉を語った。 そして弟子たちのもとに戻り、 彼らに言った。 |
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Jesus | Ach! wollt ihr nun schlafen und ruhen? Siehe, die Stunde ist hie, dass des Menschen Sohn in der Sünder Hände überantwortet wird. Stehet auf, lasset uns gehen; siehe, er ist da, der mich verrät. |
ああ、お前たちはこの期におよんで眠り、休もうとするのか。 見なさい、時が来た。 人の子は罪人たちの手に渡されるのだ。 起きなさい、行こう。見なさい、私を密告した者があそこにいる。 |
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Evangelist | Und als er noch redete, siehe, da kam Judas, der Zwölfen einer,
und mit ihm eine große Schar mit Schwerten und mit Stangen von den Hohenpriestern und Altesten des Volks. Und der Verräter hatte ihnen ein Zeichen gegeben und gesagt: »Welchen ich küssen werde, der ist's, den greifet!« Und alsbald trat er zu Jesu und sprach: |
イエスがまだ語り終えぬうちに、見よ、12人のひとり、ユダがやってきた。 これには、剣と棒で武装した大勢の者が、 祭司長たちや民の長老たちからつかわされて従っていた。 密告者はあらかじめ合図を決め、彼らにこう言っておいた。 「私が接吻する人がそれだ。捕まえなさい。」 そしてイエスに近づくやいなや、こう言った。 |
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Judas | Gegrüßet seist du, Rabbi! | ごきげんよう、ラビ! | |
Evangelist | Und küssete ihn. Jesus aber sprach zu ihm: |
そしてイエスに接吻した。 しかしイエスはユダに言った。 |
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Jesus | Mein Freund, warum bist du kommen? | 友よ、なぜ来たのだ? | |
Evangelist | Da traten sie hinzu und legten die Hände an Jesum und griffen ihn. | すると人々が近寄り、イエスに手をかけて捕らえた。 | |
Nr.27 | |||
a | Aria | 1 So ist mein Jesus nun gefangen. 2 Laßt ihn, haltet, bindet nicht! 3 Mond und Licht 4 Ist vor Schmerzen untergangen, 5 Weil mein Jesus ist gefangen. 6 Laßt ihn, haltet, bindet nicht! 7 Sie führen ihn, er ist gebunden. |
こうして、私のイエスは、今捕らわれた。 放せ、やめろ、縛るな! 月も光も 苦痛のあまり沈んだ。 私のイエスが捕らわれたのだから。 放せ、やめろ、縛るな! 彼らはイエスをひいてゆく。イエスは縄につながれた。 |
b | Cori | 1 Sind Blitze, sind Donner in Wolken verschwunden? 2 Eröffne den feurigen Abgrund, o Hölle, 3 Zertrümmre, verderbe, verschlinge, zerschelle 4 Mit plötzlicher Wut 5 Den falschen Verräter, das mördrische Blut! |
稲妻と雷は、雲間に消えたのか? 業火の淵を開け、おお地獄よ、 砕け、滅ぼせ、呑み尽くせ、踏みしだけ。 突発する怒りで 不実な密告者、人殺しのやからを。 |
特設コーナー
”宗教”と”知” ~日本のある音楽理論研究者が書いた宗教論を読んで、人生について考える~ Activities and Fruits of the Intellect―My View of Music Theory (1996) |
YK | OY | |||
15 | 1 | Although Kant's idea belongs to philosophical epistemology, it is also suggestive when we think of "faith" in religion. | カントの考えは、哲学的認識論に帰属しているけれども、私達が宗教の「信仰」について考える時にも、示唆に富むものです。 | たとえカントの思考が哲学的認識論とはいえ、 それは宗教の信仰について考える示唆に富んでいる。 |
2 | It has led me to think of Christianity in several ways: | 彼の考えは、キリスト教において、いくつかの点について考えさせてくれました。 | それはキリスト教のいくつかの方法論に通じ | |
3 | 1. It is wrong for the Church to regard scientific progress as a threat and to stand against it uselessly. | 1つ目は、教会が、科学の進歩を脅威とみなしたり、無駄に反抗をしたりすることは間違いだということです。 | 科学の進歩を脅威と感じたり、無闇に対抗することは 愚かである。 |
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4 | 2. It is wrong for us to accept the Bible and dogmas literally. | 2つ目は、聖書や教義を文字通りに受け取ることも間違いだということです。 | 聖書の教義を文字通り受け取るのは間違いである。 | |
5 | Language (conception, representation) is an indispensable part of the mechanism of intellect, and it is an instrument for classifying and fixing everything in the world into groups of materials manageable by man (Saussure, "Cours de linguistique générale " , "Funbetuchi" (discriminating wisdom) in Buddhism). | 言語(概念や表象)は、知のしくみの中で欠かすことのできない一部です。そしてまた、言語は、世界の中にあるすべてのものを、人間が処理できる素材としてグループ分けしたり、定義づけしたりする道具でもあります。(ソシュール『一般言語学講義』、「分別知」{仏教における識別する知}) | 言語(概念、表象)は知性のメカニズムの欠くことのできない仕組みであり、そしてそれは人間によって、世界の道具を分類したり、固定したり、処理される(ソシュール『一般言語学講義』)分別知である。(知恵、識別力のある仏教) | |
6 | 3. Words in the Bible as well as those in any religious scriptures are to be taken as "fingers (symbols) that point to essentially ineffable truth." | 3つ目は、聖書の中にある言葉は、他のどんな宗教の聖典のものと同じく、「本質的に神聖な真実を指し示す指(象徴)」として解釈されるものだ、ということです。 | 聖典の中の言葉は他の宗教と同様、 本質的で神聖な真実を指し、象徴として解釈される。 |
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7 | The most important part of the truth is "agape" (charity) in Christianity, "jihad" in Buddhism, and "jin" in Confucianism. | その真実において最も重要なところは、キリスト教における「アガペー(博愛)」であり、仏教における「ジハード」であり、儒教における「仁」です。 | 審議のうちに最も重要なものは、アガペーである、 仏教のジハード、儒教の精霊でもある。 |
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8 | Each religion should emphasize this "supreme truth" common in all religions, without clinging to its own creeds, scriptures, and rituals and being hostile to each other. | どの宗教も、信条や経典や戒律に執着したり互いに争ったりせず、すべての宗教に共通するこの「至高の真実」を強調すべきです。 | どの宗教もそれぞれの信条、聖典、儀式に執着することなく、全ての思考の真実を強調するべきある | |
9 | Intellect and faith must stay within their functions, otherwise ecumenism will never become a reality. | 知と信仰は、それらの役割の中にとどまるべきです。そうでなければ、世界教会主義というものは、決して現実のものとはならないでしょう。 | 知性と信仰とはそれぞれの役目のなかに留まることができ、教会一致主義は決して現実になることはないだろう。 |
HT | SY | |||
15 | 1 | Although Kant's idea belongs to philosophical epistemology, it is also suggestive when we think of "faith" in religion. | とはいえ、カントの考えは哲学的認識論に所属する。 |
以上のカントの考えは哲学上の認識論に関するものであるが、それに留まらず、宗教における”信”の問題を考える上にも極めてサジェスティヴである。 |
2 | It has led me to think of Christianity in several ways: | それは私をいくつかの方法でキリスト教について考えへ導いた。 | そこで、これを手がかりに私はキリスト教の信について次のように考えている。 | |
3 | 1. It is wrong for the Church to regard scientific progress as a threat and to stand against it uselessly. | 教会が科学の進歩を脅威と見なし、無用に対抗することは間違いだ。 | (1)かつてのように、教会が科学的諸学問の成果によって脅かされると感じたり、それに対抗しようと無益な努力を傾けたりすることは誤りである。 | |
4 | 2. It is wrong for us to accept the Bible and dogmas literally. | 聖書や教義を文字通りに受け取ることは間違いだ。 | (2)聖書や教理を字義通りに受け取ることも誤りである。 | |
5 | Language (conception, representation) is an indispensable part of the mechanism of intellect, and it is an instrument for classifying and fixing everything in the world into groups of materials manageable by man (Saussure, "Cours de linguistique générale " , "Funbetuchi" (discriminating wisdom) in Buddhism). | 言語(概念、表象)は知の仕組みの欠かすことのできない部分である。それは人間によって処理できる素材のグループの中に世界の全てのものを分類固定する道具である。ソシュール、一般言語学講座、仏教の分別知(識別する知恵) | 言葉(概念・表象)は”知のしくみ”の不可欠の一環であり、世界・万有を人間の操作しうる素材群に恣意的に分別し固定化する器具なのだ(ソシュールの言語論、仏教の分別知)。 | |
6 | 3. Words in the Bible as well as those in any religious scriptures are to be taken as "fingers (symbols) that point to essentially ineffable truth." | 他の宗教の聖典と同様に聖書の中の言葉も「指(象徴)本質的に神聖な真実を指す」と解釈するべきだ。 | (3)聖書や教理の文字、一般に宗教における経典の文字は、本来「言葉では言い表しえないものを指し示す指(象徴)」と解すべきであろう。 | |
7 | The most important part of the truth is "agape" (charity) in Christianity, "jihad" in Buddhism, and "jin" in Confucianism. | 仏教のジハード、儒教のジン、 キリスト教における真実の最も重要な部分はアガペーである。 |
こうした象徴の最大のものはキリスト教では”アガペー(愛)”である。これは他宗教で”悲”とか”仁”とか呼ばれているものに相当するのではないか。 | |
8 | Each religion should emphasize this "supreme truth" common in all religions, without clinging to its own creeds, scriptures, and rituals and being hostile to each other. | どの宗教も信条や聖書や儀式や存在に執着することなく、 それぞれが敵対することなく、共通の思考の真実を強調するべきである。 |
それぞれの宗教は、その宗教にも通底するこれら”至高なるもの”に眼を注ぐべきであり、それぞれの個別宗教たらしめる独自点(教理信条、経典、戒律等)に固執して互いに敵対すべきではない。 | |
9 | Intellect and faith must stay within their functions, otherwise ecumenism will never become a reality. | 知性と信仰はそれぞれの役目の範囲内に留まるべきである。 もしそうでなければエキュメニズムは決して現実のものとはならないだろう。 |
知と信がそれぞれ所を得ることによって初めてエキュメニズム(宗教一致”の方向が現実のものとなるであろう。 |
特集 現代社会 ニューエイジ思想の多層的な影響を考える |