上田学園 授業の記録と予定
2003年春学期 (08)
《 多言語学習 + 音楽語の入門 》
(全15回 4月15日〜7月29日)
2003年6月4日更新
★ 第7回 6月3日 授業の記録
昨日の天気予報ではそんなに暑くならないとのことだったが、今日は初夏の陽気だ。
梅雨から夏にかけてのこの頃は、自分はとても苦手でクーラーなしでは生きていけない。
でも授業が始まってしまえばそんなことは忘れてしまうが・・・
6月9日のコンサート、ちょうど月曜日で休みなのでみんな来てくれるという。
ありがたい事だねえ。じゃあ今日はこの日のプログラムの曲を題材にしよう。
(「わたしのミニコンサート」No.107 2003年6月9日(月) 17:30 ルーテル市谷センター
出番は6番目。およそ18:30頃です。)
《 オペラの楽しみ (1) 》
まずは「オペラ」ってなんだろう? 演劇と音楽の合体?
日本語では「歌劇」と訳されているけれど、" opera " のそもそもは
ラテン語の " opus " の複数形で「仕事」( work )って意味だ。
英語で " operate " , " operation " , "operator " という単語と同じ語源だ。
「アリア」は?昔は「詠唱」と訳していたけれど、今はあまり使わない。
オペラの中で歌手が自分のいいところを見せる所って感じかな?でも元の意味は「空気」。
英語でも「ロンドンデリー・エアー」というのを聞いたことがあるよね。
さて、本題に入ろう。まず2番目のコンサート・プログラムの曲、
オペラ「運命の力」からレオノーラのアリア「平和を与えたまえ、神よ」だ。
ここにあらすじと歌詩大意があるから読んでみよう。(春秋社 アリア名曲集U(ソプラノ2) 解説5ページ)
「ドン」とか「ドンナ」は何かって?これはスペイン語の「ミスター」、「ミセス」。「ドン・ファン」、「ドン・キホーテ」も同じだ。
という風に雑談を交えながら授業は進んでいく。以下、要点をまとめる。
1.「ママ、ごはん」構文 → 「呼びかけ(呼格)+単独の名詞(命令)」
" Pace , mio Dio " は訳すとき、
「平和、私の神。」では意味がわからない。歌詩などに多い「直接的表現」の一つ。
オペラのようなドラマチックな表現にあってる。
(参照 「パパ、買って」構文は「ヨハネ受難曲」の " Herr , zeig ! " 「主よ、指し示せ」にあった。)
2." Cruda sventura " (残酷な運命)はどんな気持ちで言う?
3." fatalita " (運命)が音になっているのを聞こう。ベートーベンの運命と比較する。
最初のコンサート・プログラムの曲、
「魔笛」から夜の女王のアリア「地獄の怒りわが胸に狂う」(春秋社 アリア名曲集T(ソプラノ1) 解説4、5、6ページ)
4.「聞け、復讐の神々よ!聞け、母の誓いを!」のドイツ語を読む。
" Hort ! Rachegotter ! Hort der Mutter Schwur ! "
5.最後に「先生、弾き語りで聞かせてよ。」のリクエストに答えて、演奏。
普通に講義するだけでなくピアノを弾いたり歌ったりするとかなり消耗する。
けれど、その一方で生徒たちはエキサイトする。こういうのも面白いかもしれない。
今度は歌手を呼んで授業をしたいと思う。誰か来てくれるだろうか?「声」という楽器の使い方の面白さ、
" Misteri della voce umana " (「人間の声の神秘」)の世界を紹介したい。
ぼそぼそと抑揚の無い声で話すのとは全く違った世界があること。
自分のしたいことをプレゼンテーションするときにはどうしても必要なことなのだ。
次回もこのシリーズ 《 オペラの楽しみ 》 の続きをしてみようか。
PS.
「見上せんせー、亜鉛の入っている食べ物ってなんですか?」
「そりゃ、牡蠣とかレバーとかだろう。」
自分の髪の毛を触りながら、
「やばいんですよ。体調も良くないし。」
「ちゃんと飯、食ってるのか?朝食は?」
聞こえないような小さな声で、
「朝は食べないです。」
「昼飯は?」
「カップラーメンとか牛丼とか。」
「夜は?」
と、立て続けに尋問する。
「うちにあるもので適当に作って。」
ああ、やっぱり! 授業中落ち着かないのはそのせいだぞ。
自分でもちゃんと飯食ってないと、とたんにムカついてくる。
肥満が気になってくる年齢(オヤジ)だから、その辺なかなかビミョウだけど。
今、君は大切な時を生きている。これは考えている以上に影響が大きい。
1食240円なんてセコイこと言ってちゃだめだ。
カップラーメンは多くて月一回だ。
第一、そんなもの喰わないほうがいい。
「じゃあ、今日はレバニラ炒めを作って食べます。」
6人の生徒のうち、4人が親を離れて生活している。
生活の基本、食生活の管理。
どうする、上田学園!
2003年6月4日 見上潤